2017年度 新歓講演会

大学から社会へ ~未来の先導者を目指して~

福井信英氏(株式会社プロジェクトデザイン代表取締役)


 47日、日吉キャンパスにて「大学から社会へ ~未来の先導者を目指して~」というテーマのもと、福井信英氏をお招きし、新歓講演会を行いました。

 

講師略歴


 

慶應義塾大学商学部卒。大学3年次にはベンチャー企業に勤める。大学卒業後は経営コンサルティング会社、株式会社日本エル・シー・エーに就職。その後、学校法人のコンサルティングを手がけたことをきっかけに、採用・人材育成支援を行う株式会社ジョブウェブに転職。そこで事業部長を務められたのち、独立し、株式会社プロジェクトデザインを設立。また、東洋経済オンラインにて、「学生時代の学び方」を執筆。

 

リーダーシップとは


 

優れたリーダーとは、ビジョン(よりよい未来)を描き、人々の気持ちをまとめ上げることができる人である。例えば、Yes We Can”と唱えたアメリカ合衆国前大統領のバラク・オバマ、Make America Great Againと唱えた現大統領のドナルド・トランプを想像してみてほしい。この2人に共通することは、多くの国民が望む未来を実現させようとしていることである。皆が望むよりよい未来(ビジョン)を語ることが、理想のリーダーに求められるのである。

 

そうは言っても、いきなり人々の気持ちをまとめ上げるビジョンを語ることのできる人は、なかなかいないだろう。そのため、初めのうちは、個人の願望を唱えても構わない。それが様々な経験を経て、結果的に周りの人々の共感を呼ぶ普遍的なビジョンに昇華すればよいのである。

 

福井氏のエピソード


 

福井氏は、中学2年生の時に読んだ漫画『課長 島耕作』に感化され、「自分も島耕作のようなサラリーマンになりたい」と思うようになった。これが、大学入学や就職など、自分の人生の具体的なプランを立てる際にも影響することとなる。

 

大学入学後、福井氏は島耕作を目指し、知人にアドバイスをもらいつつ、サークルやアルバイト、NPOの活動など、様々なことに挑戦した。大学3年次には、株式会社ジョブウェブで働き始めた。

 

大学卒業後は、実力をつけて島耕作に近づくため、コンサルティング会社に入社した。しかし、そのコンサルティング会社において、企業向けの研修で学んだことを学生に提供したいという思いが生まれ、かつて働いていた株式会社ジョブウェブに転職した。

 

その後、新入社員向けに行う社員研修を学生向けに提供するという事業を進める中で、自分の実力不足を痛感したことから、G→PDCAサイクルG=ゴールを定め、P=プランを立てて、D=実行し、C=チェックを重ね修正して、A=再度行動する)を実行し、実力をつけることに努めた。そのような中、2008年にリーマンショックが起こり、多くの企業の人事部が口を揃えて「不況を乗り切るためには、クリエイティブでリーダーシップを発揮できる人材が必要だ。」と言うようになった。この事態を目の当たりにし、自分には何ができるかを考えるようになった。

 

最終的にたどり着いたのは、企業向けの研修ゲームを開発することであった。なぜなら、それが単に自分の得意なことだからという理由ではなく、自分のやりたいことであったと同時に、社会に求められていることでもあったからである。こうして、福井氏は株式会社プロジェクトデザインの設立に至ったのである。

 

未来の先導者を目指して


 

 福井氏は、「島耕作のようなサラリーマンになりたい」という個人的な憧れから、ビジョンの実現をスタートした。その後、大学時代や就職後の様々な経験を通して、自分が社会に貢献できる道を発見した。

 

このように、リーダーシップを発揮するためには、自分のゴールデンゾーンを見つけることが必要である。ゴールデンゾーンは、1.人より秀でていること、2.自分がやりたいこと、3.周りから求められていること、この3つが重なったゾーンのことである。1つのみ、2つのみのゾーンに留まらず、3つがバランス良く重なるゴールデンゾーン内で行動することで、自他共にwin-winな成果を得ることができる。このゴールデンゾーンを探すためには、様々なチャレンジを重ね、GPDCAサイクルで自分を磨く必要がある。

 

ビジョンを掲げる


 

自分のやりたいビジョンを突き詰めていくと、結局はそれが誰かのためのビジョン、世界のためのビジョンとなるものである。従って、自分自身のビジョンに加え、人が求めているビジョンを描いていくことが大切である。

 

学生時代をどう使うか


 

大学生になると、他人が自分の人生のレールを決定するのではなく、自分で人生のレールを引いていく必要がある。従って、「自分が何を成し遂げたいのか」という目的を明確化しておく必要がある。また、自分のやりたい方向性に迷いがあれば、潔く諦め、新しいことにチャレンジする勇気も大切だ。やりたいことが見つからないときは、それが見つかるまで、色々なものに挑戦すべきである。時間は限られているので、G→PDCAのサイクルを速いスピードで回す必要がある。加えて、人とのつながりを大切にすることも重要である。自分のビジョンを人に相談し支援をしてもらうことができれば、次のステージに進むことも容易になるだろう。

 

質疑応答


Q1.G→PDCAサイクルの中で、Doのモチベーションが維持できないことがあります。モチベーションを保つためには、どうしたらいいでしょうか。

A1. そのような場合は、Planの段階で間違っている可能性があります。また、Checkの段階をより厳しくする必要があります。時には、その計画自体を辞めてしまう事も大切で、別の分野で自分が輝ける方法があるかもしれません。

 

Q2.物事を多角的な視点から捉えるコツを教えてください。

A2.クリティカルシンキング(批判的思考)を持つことが重要です。日常生活でも物事をそのまま鵜呑みにせずに、「本当にそうなのか?」と疑い、別の角度から考えるように訓練することが必要です。

 

所感


 

今回の講演会では、大学生活をスタートさせる1年生にとって、とても有意義なお話を伺うことができました。また、2年生にとっても、これまでの自己のあり方を見直し、新たな気持ちでこれからの大学生活を過ごしていこうと思うきっかけになったことと思います。

 

大学時代から様々なことに挑戦なさってきた福井様のお話を伺い、私も失敗を恐れずに自分のやりたいことに挑戦し、将来のビジョンを確立したいと思いました。

 

 

 

今回ご講演くださいました福井信英様、本当にありがとうございました。

 

文責 金澤尚子