2020年度 第5回事前学習


 11月20日と27日の2回にわたり、Web会議サービスZoomを用いて「建て直せ日本の政治」というテーマで事前学習を行いました。

身近な政治について


 まずは投票したことがあるか、あるいは地元の政治家の名前を1人でも知っているか等、身近にある政治に関する事項に関して班ごとに話し合いを行いました。選挙場でアルバイトの経験があるサークル員は、選挙の裏側を見ることができたいい経験になったといいます。また、外国出身の人と話していて国ごとの若者の政治に対する意識の差を感じたことがある、という人もいました。さらに、選挙に行ったことがあるサークル員が多く存在する一方、一人暮らしをしており、戸籍を移していないため投票ができないというサークル員もいました。友達と政治の話をすることには抵抗を感じやすくハードルも高く感じられますが、実は選挙が身近な存在であることを確認できました。

投票率の現状


 衆議院議員選挙における若者の投票率を見ると、最新のデータでは40%弱であり、ここ30年で約30%下がっています。18歳から選挙権が与えられるようになったのにもかかわらず、なぜ若者が選挙に行かないのでしょうか。その理由としては、「仕事があった」「そもそも興味がない」「政党や候補者が何をしているのかよくわからない」「そもそも政治についてよく知らないから投票しない方がいい」などが挙げられます。

 そこで、前述したような投票率の低い状態が続くと、どんな将来が待ち構えているのか、そして、この現状を打破するために政治家や若者にできることは何かについて班ごとに話し合いました。

 未来の予測として、相対的に高齢者の投票率が高くなってしまうため高齢者層向けの政策を掲げる政治家が多くなり、結果として子育て世代に向けた福祉政策が疎かになってしまうのではないかという意見や、投票に行く若者が少なく、若い世代の意見が政治に反映されにくくなることで、若者の政治参加への意識が薄まるのではないかという意見が出ました。実際、若者の投票率低下は「シルバー民主主義」「立候補者の質の低下」「行政サービスの低下」等を引き起こす可能性が高く、それにより国民の意見が分断されてしまうと考えられています。

 このような未来を避けるために政治家ができることとして、「若者制作の推進障害+区金制度」「大学無償化」「雇用保障」などの若者向けの政策を打ち出すことが挙げられます。ただしそれだけでなく、そのマニフェスト自体も、全ての人に分かりやすいものにするということが重要だと考えられます。

 サークル員からは、政治家がSNSを積極的に活用するのは、政治に興味を持ってもらう点では有効だが、実際に選挙が行われる時に問題が起こる可能性があるといった意見や、郵便・ネット投票などで投票に対する意識改革をすべきだという意見が出ました。

 政治家だけではなく、若者自身も心がけるべきことはたくさんあります。例えば、大学での休み時間等を活用し、政治について友人と話すことを恐れないということです。他にも、相手の言うことを頭ごなしに否定しないということや、家族と投票に行くことなど、少しでも政治と接点を持つことが必要です。以上をまとめると、「政治に当事者意識を持ち、自分の考えを持てる人になること」「政治に当事者意識を持つためにも、身近なことから考えていくこと」が大切だといえます。

現在のメディア(テレビ)に関する現状分析


 メディアの例としては、テレビやラジオ、新聞、SNS、インターネット、本などが挙げられます。

 信頼性が高いメディアといえばテレビやラジオ、新聞、本であり、日常性が高いメディアはテレビ、SNSといわれています。そこで、今回の事前学習ではより多くの人に宣伝する効果があると思われるテレビに注目しました。

 テレビの放送事業者等の電気通信を行う全ての者の規律を定めた放送法第四条では、放送番組について、政治的に中立であることを明記しています。

アメリカ大統領選挙


 続いて、先日(2020年11月3日実施)実施されたアメリカ大統領選挙について考えました。11月27日現在、アメリカでは大統領選挙の行われており、バイデン陣営306人・トランプ陣営232人の選挙人を獲得しています。

   このように、現在のアメリカでは思想の分断・対立構造が起きているといえます。このような分断や対立がヒートアップした要因として、テレビの公平原則が失われているということが挙げられます。1949年、テレビの公平原則が定められましたが、1987年のレーガン政権のときに、「言論の自由が損なわれてしまうから」という理由で廃止されました。

テレビの政治的中立性(政治的信頼性)は保たれているか


 テレビなどのマスメディアにおいて政治的中立が保たれていると考えるのであれば、その状態は現代に即しているのか、国民・政府にとって良い状態といえるか、保たれていないと考えるのであれば、どのような点で法律との乖離があるのかを話し合い、サークル員同士の意見を共有しました。その結果、以下のような意見が挙げられました。

 

班A

・政治的中立性は、一概には保たれてるとは言えないのではないか。

・局ごとで考えると、思想の左右が偏っているといえるのではないか

・だからこそ、視聴者からすれば自分の思想に近いテレビ局を選ぶことができるのではない か。

・テレビ全体で考えると、政治的中立は保たれているのではないか。

班B

・局ごとの偏りはあるのではないか。

・時間帯によって対象にしている層が異なるのではないか。

・繰り返し同じ番組を見る人が多いので、気づかないうちに思想が偏ってしまっているのではないか。

特殊法人であり、一般的に公平性があるとされているNHKでさえ中立性については疑問がある。 

 「集団的自衛権」についてのニュースでのやり取りを見てみると、政治家の「問題あるから議論していきたい」という発言に対し、アナウンサーは「ああではないのか。こうではないのか。」と、強めに突っ込んで聞いています。このように、アナウンサーやキャスターの人が突っ込んで質問をするときに、テレビ局が自分の進めたい方向に進めることもできてしまうのです。

 そのようなことを踏まえても、我々視聴者は、テレビの情報を鵜呑みにするのではなく、「能動的」にテレビを見るということを心がけなければなりません。疑問があった場合は、一次データを調べて乖離がないかを確認することや、TwitterなどのSNSも様々な意見があるので能動的に調べてみることが大切です。

これからのテレビ放送の在り方


 理想的な「政治×メディア」のあり方を、アメリカのメディアを参考にしながら具体的に考えました。サークル員からは、「海外では一つの番組内でも様々な意見を持つ人を集めているため、日本も参考にするべきではないか」「アナウンサーが自分の意見を言えないことは表現の自由の侵害になってしまうとも考えられるため、より自由に自分の意見を発信できるような報道のあり方が必要なのではないか」「番組側ではなく、視聴者側が情報の取捨選択をすべきだ」等の意見が挙げられました。

まとめ


 現在のメディアは、国民に対して絶えず社会的・政治的変化の模様を発信しており、「第四の権力」と呼ばれるほど強い権力を持っています。そして、国民はメディアの発する情報に基づいて世論を形成しています。様々なメディアが乱立する中で、現在の国民に求められているのは、メディアリテラシーすなわちメディアが発信した情報を正しく取捨選択する能力です。

所感


 私たち若者の選挙における投票率が年々低下している現状において、何が問題であるのかということを話し合いを通じて明確にできました。ただ、報道番組の政治的中立性に関して、主要な地上波のテレビ局は全て左寄りであると個人的に考えているので「テレビ局ごとに左右分かれているので視聴者が選べばいい」という意見の人が多かったのが残念でした。今回と前回の事前学習を通してサークル員が政治に対してもっと興味を持ち、現状をしっかりと認識し、周りの人にもそのような政治に対する意識改革が伝わっていくことを強く望んでいます。

 

文責:小野間航