2016年度 第2回特別学習企画

意外と知らない!?日本のこと ~世界の中の日本~


11月25日、日吉キャンパスにて第2回特別学習企画が行われました。今回のテーマは、「意外と知らない日本のこと~世界の中の日本~」です。今回は宮寺と小沢によるファシリテーション形式で、本テーマについて考察しました。

企画趣旨


世界における日本を正しく認識することで、国内の社会問題について考えていく上で大いに役立つ視点を培うことができます。日本人が固定概念を抱きやすい3つのランキングを通して、普段の活動では扱わない「世界」に視野を広げ、その中での「日本」について考察しました。

企画概要


 各ランキングにおける日本の順位を5,6人の班で考え、その順位をそれを決めた理由と共に発表してもらいます。正しいランキングと班のランキングを比較することで、自分たちが日本に対して思い浮かべていたイメージ・固定概念と日本の正しい姿とのギャップを認識し、改めて日本の姿を正確に捉え直します。

「Rabbit Hutches」(一軒あたりの平均床面積)


 「Rabbit hutches」。これは欧米諸国の人々が、日本人を「狭い家に住み、狂ったように働く」と嘲笑の意味を込めて指摘した際に使われた言葉です。この言葉に象徴されるように、日本人、特に都会の人々はマンションやアパートなどの狭小住居で生活しているイメージがありますが、実際はどうなのでしょうか。どの班も欧米、特にアメリカなど国土の広い国と比較して考え、「日本は世界的に見れば、非常に狭い住居に住んでいるのでないか」という意見が多く出ていました。しかし、実際には日本は一軒当たりの平均床面積ランキングで対象17カ国中5位です。確かに、大阪・東京などの大都市では平均床面積は小さいですが、地方においては非常に大きい床面積を有しています。また、日本は持ち家だけで見れば、世界でアメリカに次ぐ平均床面積を誇るそうです。都市と地方、持ち家と借家の違いが、誤解の原因を招いたのではないでしょうか。

「Economic animal」(平均年間労働時間)


 経済的利益ばかりを優先する高度成長期における日本人の姿を揶揄してできた言葉が、「Economic animal」です。世界における日本人のイメージとして、まじめ・勤勉などのイメージがありますが、実際はどうなのでしょうか。一人当たりの平均年間労働時間のランキングを通して、日本の順位を考えました。日本人は、「サービス残業が文化と化しており、調査の段階でそれを報告しておらず、順位としてはそれほど高くない」、「アフリカ諸国は日本人よりもっと働いている」など、鋭い意見が多く見られました。実際はその通りで、日本は非正規雇用者の増大やサービス残業の常態化なども相まって、年間総労働時間は年々減少しています。そのため、OECDの調査によると対象36カ国中15位であり、ランキング自体はそれほど高くありませんでした。

「日本は小さな島国!?」(国土面積)


日本は島国で国土の小さな国と思われがちですが、実際はどうなのでしょうか。日本は世界の国土ランキングでは、対象201カ国中61位と、上位3分の1に入っており、世界的に見て決して小さい国とは言えません。日本がアメリカ・ロシア・オーストラリア・中国など、国土が世界的に大きい国に囲まれている為に、地図などで比較するときに、どうしても日本は小さいと勘違いしてしまうようです。また、球体である地球を平面で表しているために、メルカトル図法という描き方が採用されており、歪みが生じているなど、誤解の要因は様々あるようです。

所感


 世界における日本の姿を正しく認識することは、今後ますます必要とされます。現在、日本には人口減少を食い止めることができる有効な手立てはなく、遅かれ早かれ移民の受け入れを認めざるを得ない状況になると考えられます。多様な文化・多様な言語を持つ人々と接するとき、「自分が何者なのか」、「日本はどのような国なのか」を知らなければ、本当の意味での共生は実現できないのではないでしょうか。そのような意味で、今回日本の正しい姿を把握できたことは、良い機会になったのではないでしょうか。

文責:由本達也