2017年度 第4回事前学習

フードロス~日本社会の豊かさの裏側~


 9月22日、日吉キャンパスにて第4回事前学習が行われました。これから3週間かけて学ぶテーマは「フードロス〜日本社会の豊かさの裏側〜」です。今回は、比屋根・井上によるファシリテーション形式で、本テーマについて日本の現状と今後の展望を考察しました。

食料廃棄問題の現状


 フードロスとは、賞味期限切れや食べ残しなどにより、まだ食べられるにも関わらず廃棄される食品を指します。現在、日本では年間500万トンから800万トンのフードロスが発生しています。これはユニセフの食料援助量である390万トンと比べると、非常に多くのフードロスが排出されていることが分かります。

ケーススタディ


 私たちはフードロスに対しての理解をより深めるため、子供に食の大切さを教える先生になったつもりで、以下2つのケーススタディについて、グループに分かれてディスカッションを行いました。

 

  1つ目は「ししゃも嫌いの低学年の女子に対し、残さずししゃもを食べてもらうにはどうすればよいか?」というケーススタディです。このケーススタディでポイントとなったのは、対象が低学年の女子であるため、難しい理屈や論理は上手く伝わらない可能性があるという点でした。サークル員からは「自ら美味しそうに食べて見せる」「実際に給食室で給食を作る過程を見せる」「命の大切さを教える」「食べたら成長できると教える」などの意見が挙げられました。

 

 2つ目は「牛乳嫌いの高学年の男子に対し、牛乳を残さず飲んでもらうには?」というケーススタディです。このケースでポイントとなったのは、対象の男子は高学年であるため、自分の意思が強く、納得できる理由でなければならないという点でした。サークル員からは「牛乳から得られる栄養の重要さを伝える」「牛乳を採取するために命を失った子牛の存在について教える」「一つの牛乳を作るのに多くの人々が関わっていることを伝える」などの意見が挙げられました。

ディスカッション


 次に、サークル員が最近「いつどこで何を無駄にしたのか?」をテーマとし、ディスカッションを行いました。サークル員からは、冷蔵庫の傷んだ野菜や外食で食べ残した白米などが挙げられました。このディスカッションを行うことで、自らの生活を振り返ると、想像以上に食材や食品を無駄にしていることに気付かされました。

 

 さらに「豊かな日本社会において、フードロスの裏側で無駄になっているものとは何か?」をテーマとし、ディスカッションを行いました。サークル員からは、生産コストやゴミ処理などの意見が挙げられました。このディスカッションを行うことで、食品を残すは「もったいない」という言葉がたびたび聞かれるようになり、自らの生活を振り返るきっかけになりました。また、世界には十分な食品供給がなされていない事実があることを改めて認識し、無駄のない食生活を心掛けたいと思いました。

所感


 「食」は私たちの生活とは切っても切り離せないものです。しかし、そのような「食」の裏側にフードロスの問題があることを知り、日本のフードロスの多さに驚きました。また、「なぜ食べ物を残してはいけないのか」「現在の日本社会にとって、フードロスはマイナスか」を議論することで、フードロスの根底にある問題を捉えることができたと思います。 

 今回の事前学習で学んだことをもとに、「勉強会」「リフレクション」を通じて、さらにこのテーマについて理解を深めていきます。次回は9月29日、NPO法人シェアマインド代表理事の松本靖子氏をお迎えして、ご講演いただきます。

 

文責 金澤尚子