2013年度 第3回リフレクション

科学の発展と生命倫理


今回の定例会では、Case Studyや張香理様、山内泰子様の講義を通し深めてきたテーマである「科学の発展と生命倫理」について、7班に分かれ、ディベートを実施しました。

 

それぞれのディベートには1名ずつジャッジをつけました。

肯定・否定はあらかじめ決めるのではなく、ディベート当日に決定されます。

 

ディベートルールはディベート甲子園(公式HP: http://nade.jp/koshien/)の形式をもとに作成したFR Debate Rule Bookの形式に従っています。


ディベート


課題

「出生前に胎児の遺伝子検査を行うことを禁止すべきか」


以下、肯定派・否定派において挙げられた論点です。

 

肯定派

・胎児に障害があると診断された人の92%が中絶を選択するように、人為的な命の選別が生じる

・とりかえしのつかない医療ミスが起きる可能性がある

・  出生前診断の安全性や制度は不十分であり、羊水検査は流産の危険性もある

・  出生前診断の結果によるストレスで母体への負担が増加し、胎児への悪影響をも及ぼす

 

否定側

・  考える余地と選択肢を増やすことで、両親の幸福を追求することが可能である

・  胎児の状況を前もって知ることで出産後適切な対応が可能となる

・  胎児治療の発展を望むことができる

・  世論調査では出生前診断に賛成の方が多く、胎児の状態がわかることで妊婦の精神的安定につながる


総括


 前期最後のディベートということもあって、難しいテーマであったにも関わらず、それぞれの意見に対して筋道の通った反駁をし合うことでこれまでよりも一層深まったディベートになりました。

 

 ディベート終了後の講評は今回、生命倫理というテーマが難解であり、それぞれの主観によってかなり意見が別れてしまうためあえて勝敗をつけず、ディベートで出た意見についてディスカッションをするという形になりました。

 

 私たちの班では、障がい者が減ることで障がい者を受け入れる社会ではなくなってしまうのか、優位思想を持つことは一概に悪いことといえるのか、幸せではない両親のもとに産まれた子どもは果たして幸せなのかという意見について話し合いました。最後の意見について、ダウン症の子を持つ子どもは90%が幸せであるというデータがある、しかしそのデータは意義のあるものなのか、両親には選択肢があってもいいのではないかなど様々な意見が出ました。

 

 最後に、出生前診断を行うという選択をするかというディスカッションを行いました。

たとえ結果が出たとしても何が正しい選択なのかわからないのでしないと思う、どんな子どもが産まれたとしてもそれは自分の子どもなのだから責任感を持って育てたい、などの意見が伺えました。

 

 生命倫理の問題についてこれが正しいという答えを出すことはとても難しいですが、今回のテーマはこれから私たちが生きて行くにあたって近い将来必ず直面する問題です。今回科学の発展と生命倫理というテーマのもと出生前診断について学ぶにあたり、私たちは出産、結婚、自らの倫理観や人生について考える貴重な機会になったと実感しています。今回のリフレクションで「科学の発展と生命倫理」のテーマは終了ですが、これからも社会全体で、まずは私たち一人一人がじっくりと考えていかなければいけない問題であると感じました。

 

文責:山里晴香