2018年度 春合宿ディベート第2戦

地方創生


 2月13日、国立オリンピック記念青少年総合センターにて、今回の春合宿の大テーマである「地方創生」について、ディベートを実施しました。

【論題】「地方創生につき、地方における『選択と集中』(広域行政圏施策)を徹底し、『地方中核都市』に投資と施策を集中すべきである。是か非か。」


 増田レポート(※1)では、現状のまま東京への一極集中が進めば「消滅可能性都市」が生まれると指摘してます。東京圏への人口流入を防ぐため、政府は「地方中核都市」に焦点を当てた施策を講じるべきかどうか、が論点となりました。以下、肯定派・否定派において挙げられた論点を掲載します。また、否定側による代替案を掲載します。

 

※1:日本創成会議・人口減少問題検討分科会「成長を続ける21世紀のために『ストップ少子化・地方元気戦略』」(2014.05)

http://www.policycouncil.jp/pdf/prop03/prop03.pdf

肯定派


・東京への人口の流れは、転入超過であり、またその多くは若年層である。しかし、東京の合計特殊出生率は低く、これが少子化の原因となっている。これにより、生産年齢人口が減少し、経済が縮小する。

・高齢化による高齢者の増加によって、東京圏の収容人数超過、社会保障費の増大といった弊害が生まれる。

・過度に財源や政策を集積させることにより、環境悪化やインフラの利用集中といったデメリットが生じる。

・地方衰退が各地域の没個性化を呼び、最終的に地域の特色・文化・観光資源が失われることになる。

否定派


・中核都市には「経済成長の牽引」の役割が課せられるが、通勤圏の影響や人口移動の景気が主に職業・教育事情であることから、この政策は周辺地域から中核都市への人口流入を促進する。

・さらに、その中核都市の規模が大きければ大きいほど、中核都市から東京圏へ流出する人は多くなり、この政策は非有用的であるといえる。

・訪日外国人は、多くが日本の土地に根差した文化を体験しており、また持続的なインバウンド誘致を目指す必要があることから自然を活用したサービスの提供が効果的である。しかし、増田レポートでは多くの過疎地域が支援対象外であり、更に各地の観光資源を活用に目を向けない施策は機会費用の多大な損失であるとともに自立的な地方創生を阻害するため、この政策は効果的ではない。

代替案


・現行の地方創生推進交付金制度を使うことによって、地方創生に自治体独自の特色や魅力が反映され、意欲と競争力を引き出すことができる。

・また、2019年度から始まる過疎地域・離島での起業・就業者に対する補助金制度によって、移住者のさらなる増大が見込める。

所感


 春合宿のディベートの2つの議題は、普段のリフレクションの論題とは比べ物にならないほど難しく、また事前の準備や吟味が、普段のリフレクションよりも格段に必要でした。そうした状況において、普段以上に議論や準備を重ね、各自治体の課題を、例をあげながら論じた肯定・否定両班は、より地方創生について理解を持てたのではないでしょうか。反省点としては、この論題自体が難しく、また複雑であったために両チームの定義等のすり合わせがうまくいってなかったり、班員内での共有のミスがあったことです。こういった反省点を次に活かし、2019年度は、より良い議論をすることを心掛けていきます。 

文責:松成 拓