2012年度 夏合宿

Nation Branding ―世界に日本を発信しよう―


1日目


 夏合宿初日。まず行ったのは班ごとの自己紹介レクです。プレゼン能力向上のため、いかに二分間で自分を魅力的に語れるか、自分の趣味に興味を持たせるかを目的に自己紹介をしました。普段から知っている仲ですが、このレクによってまた新しい一面を見ることができたと思います。

次に行ったのがケーススタディーです。与えられた事例に対して班でディスカッションを行い、班としての結論をまとめていきました。 与えられたテーマは4つ。「開かれた日本と多文化共生」、「日本が目指すべき民主主義の形」、「企業倫理と社会的責任」、「日本の介護問題」です。


●「多文化共生」

 親の不法入国によって日本に滞在していた家族の事例について国としてどのように対応するべきかディスカッションを行って検討しました。

意見としては

・同情をせずに法律に乗っ取って厳正に対応するべきである

・親は罰せられるべきだが、子供には何の罪もなく、それまで育ってきた環境を奪われてしまうのは不当である

という二つの意見にわかれました。


●「民主主義」

 今の選挙制度にはどのような問題があり、どんな選挙制度が今の日本にとって適切かについてディスカッションを行いました。日本の選挙制度の問題点を改善するための方法として

・候補の中で当選させたくない人に投票し、一人ずつ候補者数を減らす

・1位に5ポイント、2位に3ポイントなど選挙をポイント制にする

などユニークなアイディアも生まれました。みなさんもぜひ一度考えてみてください。


●「企業倫理」 リーバイスのバングラデシュでの活動をもとに、社会や地域に 貢献するという自社のモットーと、利潤追求という企業としての行いが相反し、矛盾した時の対応について自分たちであればどうするかを考えた後、企業は誰のものであり、目指すべき姿とは何かについて話し合いました。

・顧客、株主など特定の集団のものである

という意見の他に、

・企業は誰のものでもなく、それに関係するすべての人、地域どれか一つが欠けても企業は成り立たない

という意見も出ました。


●「介護問題」

高齢者虐待の原因がどこにあるか考え、国、企業がどのような対策を取るべきか話し合いました。

・国が介護を義務教育に取り入れ、介護能力の一般化を目指す

・企業において、足が不自由な人にタッチパネルを使って仕事をできるようなシステムを導入し、タッチパネル商品の販売を促進する

・薬品メーカーの健康増進系の製品を無料で配布し、データの収集を行う

など国としては介護をより一層充実させるための対応、企業としては自社の利益も追及しつつ、かつ高齢者のためにもなるような対応が発表されました。


 ケーススタディが終わった後は待ちに待ったバーベキュー、そして花火! とても賑やかな夜でした!♪


文責:請園薫


2日目


 2日目は朝から、Nation Branding についての本格的な学習がスタートしました。 まずは、日本がどういった形で世界から認識されているかという現状を話し合う“学会ターム”。観光、輸出ブランド、政策、投資、文化、国民という事前に割り振られた6班に分かれ、各々調べてきた内容の共有や話し合いが行われました。

 11時頃から始まった“戦略ターム”では、上記6つの班のメンバーが混合し、TEAM A ~TEAM Fに分かれて立案作成を行いました。現在、日本のNation Brandingは世界5位。この順位を向上させるため、各班はキャッチコピーと現状分析、方針を打ち出す立案を練り、四年生務める審査員へのプレゼンに備えました。与えられた約3時間の中で、途中班ごとのお昼休憩を挟みながら(審査員からチームワーク力を加点してもらおうと、各班から仲良く合わせた「いただきます!」の声が聞こえました)、それぞれ必死に準備しました。 (各チームのプレゼン概要は、下記を参照してください。)

 

 プレゼンの後には審査員からの鋭い質問が投げかけられましたが、各班とも事前共やチームワーク力を発揮し無事全てのプレゼンが18時頃に終了。待ちに待った夕ご飯の時間には、沢山のおかずとアイスの食べ放題まであったため、みんなでわいわい過ごしました。

 

 入浴をすませた後は、毎年恒例の「夢企画」。全員が自分の目標や夢と向き合うこの時間は、秋学期以降の自分たちの過ごし方を改めて考え直す良いきっかけになりました。

 

 その後、全員が気にかけていたプレゼンの順位発表がありました。四年生の審査員が熟考を重ねた結果の順位がスクリーンに映し出されました。優勝は、TEAM A!!惜しくも審査で同点だったTEAM B は、プレゼンの提出期限が数分オーバーしたための減点で2位。時間厳守という社会の厳しさを痛感させられました。また、合わせて行われた審査員からのフィードバックにより、自分たちに足りない部分を各自が内省することができました。

 

 達成感に包まれたまま、お待ちかねの合宿打ち上げです!恒例の一男芸は多いに盛り上がり、ゲームや進路相談など深夜4時近くまでみんなで楽しい夜を過ごしました。

 

学会ターム内容


■観光

 訪日外客数が年間861万人で世界30位であること、来日目的の大多数が日本食と温泉であること、震災後の放射能やビザ取得、円高など日本観光の懸念点であることを話し合い共有しました。

 

■輸出品ブランド

 工業製品や伝統工芸品(技術)、インフラ、食といった幅広い分野において、最も問題視されていたのはイメージ構築のための、国からの援助不足でした。製品と国のイメージがマッチングしていない現状を踏まえ、品質管理のための第三者機関を設けて、国のお墨付きを与える取り組みやメディアミックスを推し進める必要性を議論しました。

 

■政策

 第一の論点は労働問題であり、日本人のワークライフバランスを重要視できていない点、それに関連付けて介護と労働の両立、終身雇用性に囚われない働き方などの問題意識が挙げられました。第二の論点は、エネルギー政策であり、原子力発電所に代わる新たな実現可能な発電方法を議論しました。

 

■投資

 テーマとした「その国での居住、労働、学問の魅力、政治や社会状況」を考慮して議論しました。日本の強みには安定した社会状況や労働環境、弱みにはグローバル化が進んでいない大学(学問)や法人税が障壁となる企業誘致が挙がりました。


■文化

 世界に誇れる文化自体はあるものの、発信できていないことが最大の問題点に挙がりました。クールジャパンプロジェクトが事業仕分けで却下された現状もあります。日本文化の特徴には、四季・礼儀を重んじるという点が挙がり、加えて日本人は異文化を自国の生活に合うように加工する能力に長けているという指摘がありました。


■国民

 世界から見た日本人の国民性は、勤勉で真面目という好評価であったものの、近年評価は下がりつつあるという意識を共有しました。特に、投票率の低さから見られる愛国心の欠如や積極性の低さが問題点として挙がりました。


戦略ターム内容


■ TEAM A

『おもてなしとこころくばりのくに 日本』日本人の国民性が東日本大震災を機に海外に評価されている中、日本の良さをさらにアピールするため、また日本人自身が日本の良さを改めて自覚するために、おもてなしとこころくばりに沿った政策を提案しました。


■TEAM B

『和の国 日本』「和の国日本」を切口に投資以外の五分野を高めて議論しました。また、五分野それぞれにおける政策を提案することにより、日本に対する評価の中で最も低評価の政策を向上させる意図もありました。


■TEAM C

『震災復興から世界へ』東日本大震災から日本が復興していく過程で、改めて日本の力強さを世界にアピールするという目的の下、東北地方における最先端都市の形成、世界各地での東北文化の発信などを提案しました。


■TEAM D

『Sophisticated Japan』日本にある洗練された文化、観光、ブランドを売り出し、そこから優れた国民性を魅せる。それを達成するため、外国人が日本に来やすい政策を作成した。


■TEAM E

『まごころ日本』サブカルによる日本文化の発信と地域に根差した体験型観光アートによって日本の“おもてなし”に理解を持ってもらい、Japanブランドをより一体化した戦略事業に発展させて国家ブランドの基盤を構築することを提案しました。


■TEAM F

『ホッとJAPAN アッとASIA』日本がアジアの中で最も魅力的な国であることを売り出すために、ポップカルチャーと食文化をアジア諸国と差別化し発信していく政策を打ち出しました。


文責:森嶋裕子

3日目


 さあ、とうとう合宿最終日。長いようでとても早かった三日間でした。そんな最終日はみんなで海へ!! 海でたそがれるもの、ビーチフラッグをやるもの、ビーチバレーをやるもの、海辺でガールズトークをしようといってみんなを海に引きずり込む妖怪もいましたが、平和でとても楽しいひと時でした! そしてお昼ご飯の後にお世話になった方々にご挨拶。感謝の気持ちを伝えられてよかったです。


 そのあとには松下さん、花岡代表、薦田日吉代表からそれぞれお話があり、合宿係の花家さんが最後を締めて今回の合宿は終了しました。 遊びも勉強もとても充実した夏合宿になったと思います。みんなの仲もより一層深まり、これからのサークル活動がさらに楽しみになるような素晴らしい夏合宿でした!


文責:請園薫