2011年度 第2回リフレクション

大学の国際化とグローバル人材育成


 10月14日の定例会では、前週に行われた佐藤邦明氏による「日本のこれから~大学の国際化とグローバル人材育成」のリフレクションを行いました。


ディスカッション概要 ―日本の若者は本当に「内向き」か―


 4班がそれぞれ2つに分かれ、全8グループで講演会の内容を共有したのちにディスカッションにうつりました。まず、講演会でも指摘されていた「日本の若者は本当に内向きであるといえるのか」という点についてグループごとにディスカッションをしました。10分ほど話し合いをした後、代表者がグループごとに意見を1分にまとめ話すという形式で全体に発表しました。以下、そのときの代表者の意見です。


ディスカッション内容


■ 1班

今自分たちの実感としては外向きの考えを持っている人が多いのにもかかわらず、結果的に内向きといわれてしまうのはなぜか。自分たちは留学に関する制度が問題だと考える。具体的な改善策としては、留学生に対する奨学金を増やしたり、就職活動の開始時期を遅らせたり秋入学を取り入れたりする。これらの策を大学に対してポジティブに訴えることが必要。


■ 2班

現在の日本社会においては、外向きの考えを持っている人たちは情報を多く得、海外への留学を志す一方で、内向きの考えを持つ人は情報がないうえ得ようともしないためさらに無関心になるという二極化が進んでいる。また、日本の学生は英語に限らず語学に対するアグレッシブさが足りない。大学において英語に触れる機会を増やす努力をするべき。


■3班

日本の若者は内向きである。その理由としては雇用システムが問題だからではないか。例えば、終身雇用制度が中心となっていることによって、職を失った人が再チャレンジしにくい環境になってしまっている。この状況を脱するために、企業が優秀な人材を採用する努力をより積極的に行うべきである。これは学生の意識の向上にもつながるのではないか。


■ 4班

日本の若者は内向きではない。学生の大多数は留学してみたいと考えているにも拘らず、経済的に留学費用がまかなえなかったり、帰国後の留学が困難であったりと制度に問題がある。留学したいという気持ちがあったとしてもそれを実際行動にうつすには、自らが外人と触れ合ってより留学への意識を高めるべきである。よって、外から留学生を受け入れることも大切になってくるのではないか。


■ 5班

日本の若者は内向きではない。日本にも意識を高く持っている人は数多くいる。そもそも「内向き」という言葉の定義があいまいであると考える。英語が好きであったり、旅行が好きであったりすれば、企業の提示する条件を満たすこともある。また、韓国においてはクラスの大多数が海外への滞在経験がある。一方日本においては海外滞在経験のある人はクラスに4,5人である。日本も韓国のような例に倣っていくべきである。


■ 6班

日本の若者は内向きとは言われているが、それは制度や経済的理由などの構造的な面からと日本が豊かで外に出る必要がないと考える意識的な面からの2つの要因があると言える。一方で、理系分野において、海外に留学するよりも日本にいた方がより高度なものが学べるからこそあえて日本で勉強する学生もいるように、視点を変えると見方も違ってくる。国内外のメディアではさかんに若者が内向きであると騒がれているものの、このような点も考慮すると一概に内向きであるまたはそうではないと断言するのは難しい。


■ 7班

日本の若者は内向きではない。理由としては、景気悪化などの時代風潮や留学への支援制度が不十分であることが挙げられる。留学を望む学生の中でも、制度への不安からそれを断念してしまうのではないか。また、このように意識の高い学生は大勢いるものの、一方で自分ではなく一部の人に問題を解決してもらうとする他人任せの傾向もあると考えられる。社会全体を視野に入れて考えるとまた違った結論も得られるのではないだろうか。


■ 8班

グローバル化に対応するためには何が必要かを考えると、交流、資格、留学経験、語学力などが挙げられる。日本の若者にはこれらの能力・技術が欠けているといえる。留学に関する制度や日本が豊かであるから外に出なくても良いとする意識が問題なのではないか。結論としては、日本は外国と比較するとより内向き傾向にあると考えられる。


 次に、日吉代表から、グローバル人材とは何か、講演会の内容から3つのポイントが挙げられました。グローバル人材には、自国の文化を深く理解していること、主体性・協調性・責任感があること、語学力の伴ったコミュニケーション能力の3つの要素が必要であるということでした。


グローバル人材を育てる方法は


 その後、グループで「グローバル人材を養うにはどうするか」をディスカッションしました。以下、そのときの代表者の意見です。


■ 1班

グローバル人材を志すためには、自分でできることを考える必要がある。意識を変化させるため、具体的には、積極的に留学プログラムに参加する、海外に行く、日経新聞をよみ世界政治に詳しくなる、などである。意識の高い学生と交流し、自らの意識を高めていくことも大切だといえる。


■ 2班

企業が就職期を遅らせるのは難しいため、大学側が体制を整える必要がある。たとえば、学業だけに固執するのではなく、ディスカッションの能力やコミュニケーション能力、主体性を養うためにそれらに特化した教育科目をつくる。そのようにして、競い合って学ぶことが可能な環境づくりをするべきである。


■ 3班

グローバル化に対応するために日本から海外に留学生を発信するだけではなく、日本でグローバル人材を増やすことにも尽力するべきである。国内において海外やその文化に触れる機会を作り、より興味を持たせるような状態を作り出していく必要がある。


■ 4班

企業があってこそ、グローバル人材育成の必要が生じる。企業は、グローバル人材育成を目指して新卒一括採用を廃止する、留学へ行きたいという気持ちはあってもいけない学生のために奨学金を設ける、交換留学に関する情報を伝えるなどしてよりフレキシブルに対応していくべきである。


■ 5班

より若いときからグローバル化に対応した教育を行うべきである。従って、中学高校における教員の質を高める必要がある。また、スポーツや音楽などの芸術を通して異文化を理解し、自国のアイデンティティーを理解する機会を増やすことも重要である。


■ 6班

制度改革として、3つの点を提示する。1点目は、英語力の向上を進めることである。2点目は、全体の勉強自体のレベルアップをすることを挙げる。たとえば学習の中に第3者的な視点を入れることや、教員と生徒の双方向の学習体制を整えることが必要である。3点目は、企業の就職口を整備することである。


■ 7班

スカウト制度を導入する。スカウト制度とは、留学に行く学生を企業や支援団体が選考の上スカウトするというものである。並行して、語学に関しては学生のレベルに合致した授業をとり行うことが必要とされていると考える。


■ 8班

今の大学の状況では、たとえば体育会に所属する人がそれと並行して資格の取得を目指すことは難しいので、改善するべきである。就職制度を見直したり、9月入学制を導入したりする。また、就職が内定してから仕事を開始するまで新入社員に一定の自由な期間を与えている企業があるので、そのような制度を取り入れる。