2012年度 第5回リフレクション

安全保障と外交


 今回の定例会では、Case Studyで学んできたことを踏まえて、外交と安全保障について、6班に分かれディベートを実施しました。それぞれのディベートには2名ずつジャッジをつけて判定を行いました。

ディベート


論題 

「国は離島の管理権を地方自治体に譲渡すべきか否か」

 

以下肯定派、否定派において挙げられた意見です。

 

肯定側

・管理や利用法は地方自治体の方が長けている。

国よりも地方自治体は柔軟性に優れ、より効率的な離島の運用が可能である。

・諸外国との関係性悪化を防止できる。

地方が管理を行うと、国としての外交的な領土問題の表面化を 防ぐことが可能である。

・地方自治、地方分権の促進が可能である。

離島を地方に任せることで、民主主義国家としての 日本の立場により一貫性が取れるとともに、離島振興によって地方分権にもつながる。

 

否定側

・国は予算の規模が大きいため、より充実した運用ができる。

地方に比べ、国の予算が大きいことは明白であり、有事の際に国が管理していたほうが離島に対して、充実した支援を行うことができる。

・近隣諸国との関係に悪影響を及ぼす。

自治体が島を所有することで、島への民間人立ち入りが自由に行えるようになるため、近隣諸国を刺激しかねず、外交上の摩擦につながる。これは経済的に大きな打撃を被る可能性を孕んでいる。

・人的、金銭的コストが発生する。

現在、国が所持している島全ての管理権を自治体に引き継ぐ際に、多大なコストが生じる。

 

などの意見が出ました。


  今回のディベートで反省点として挙げられたのは


・多用する言葉の定義を事前に共有しておく必要があるということ

・議論の際、論点をすり替えないようにすること

・同じ言葉を違う対象について使っていてわかりづらかったこと。

(例:同じ「管理面」でもひとつの島の管理と数ある島をもれなく管理するしくみなど二つの違った意味合いで使われていた)


などが挙げられました。


 今回は普段より抽象的な論題設定であったため、メンバー各々がある程度テーマを掘り下げる必要があり、議論が難しいと言われていました。しかし、全体として前回よりも論理的で実りある議論ができたのではないでしょうか。 今期のディベートも残すところあと1回となり、各班の努力の成果が現れてきたことが伺えました。


ディスカッション


 そしてディベート後にはディスカッションを行いました。


 まずは、尖閣は東京都か国どちらが購入するべきかについて話し合いを行いました。 このディスカッションにおいては、主に以下のような意見が出されました。

・東京都が購入するべきである。なぜなら尖閣諸島の購入は自治体によるものとなり、国同士の対立を回避可能であるため。

・国が購入する必要がある。国として曖昧にしてきた領土問題への態度をしっかりと世界に示すべきである。


 次に、そもそも領土問題は解決するべきか否かについて議論しました。 ここでは

・解決すべきでない。相手国の政権が変わり、領土問題に対する態度が緩和されるのを待つべき。

という意見や

・解決するべき。国として領土問題に明確な意思表明をすべきであり、そのためには現行の国際裁判のシステムを見直す必要がある。

という意見が出ました。


  これを機に、安全保障とはなにか、日本にとっての領土とはどのような存在であるのか、という議題について考えることができたのではないかと思います。 以上です。


文責:請園薫